最高裁判所第二小法廷 昭和39年(オ)842号 判決 1965年4月02日
上告人
有限会社共和電機商会
右代表者
石井留蔵
右代理人
田中義之助
湯浅実
渡辺真一
被上告人
反町信太郎
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人田中義之助、同湯浅実、同渡辺真一の上告理由第一点について。
建物保護法第一条によれば、建物の所有を目的とする土地の賃貸借は、その賃借権の登記がなくても、その土地の上に登記した建物を有するときに限り土地の譲受人に対してもその効力を生ずるものであるが、原審控訴人池本三造は、被上告人が土地所有者訴外佐久間利治から本件土地を買受け、その所有権登記を経由した当時には、未だその所有の地上建物につき登記を経由していなかつたものである以上、右池本三造と被上告人間に本件土地の賃貸借契約の存在を否定した原判決に何ら違法の廉はない。論旨は、土地賃借権の存在を知つて土地所有権を取得した第三者に対しては、建物の登記なくして右第三者との間に賃貸借の効力を生ずる旨主張するが、そのように解すべき根拠がない。原判決に所論の違法がなく、論旨は採用できない。
同第二点について。
原判決確定の事実関係の下において、被上告人の上告人に対する本件権利行使を権利の濫用であると解することはできない。
原判決に所論の違法がなく、論旨は採用できない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 山田作之助 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外)
第二点 <省略>